共創型クリエイティブ集団「LENS」 共創型クリエイティブ集団「LENS」

「広告ではなく、ふるまいを創る」 —Cannes Lions 2025に見るブランドの新常識 

TOPICS
Photo: Cannes Lions Festival of Creativity 2025, taken by LENS

世界最大級のクリエイティブフェスティバル「Cannes Lions」。
課題解決の万博とも呼ばれるこの場には、世界中のブランドとクリエイターが集まり、 社会に対する企業の“ふるまい”を再定義するような事例が多数登場しました。 LENSもまた、クライアントと共に現地を訪問し、広告の未来を肌で感じてきました。 


カンヌで得た5つの学び

2025年のカンヌライオンズで特に印象的だったのは、AB InBev CMO マルセル・マルコンデス氏と、ユニリーバ Chief Growth & Marketing Officer エシ・エグルストン・プレイシ ー氏のセミナーでした。

両者に共通していたのは、「広告」という枠を超え、ブランドを人々の生活や文化にどう根付かせるか、という視点です。マルコンデス氏は「ブランドは記憶に残る“体験の設計者”であるべき」とし、単なる一過性の話題ではなく、日常に自然と溶け込み、感謝される体験を戦略的に構築する重要性を語りました。一方プレイシー氏は、AI時代におい てもブランドが人間らしさを失わず、科学・美意識・感覚・共感・時代性を兼ね備えた“SASSY”な存在になることの必要性を強調しました。この二人のメッセージは、LENS がこれからの企画で重視すべき指針と重なります。

①「体験」がブランドの設計思想になる時代
・広告は“施策”ではなく“体験の設計”へと進化している
・ブランドは「記憶に残る体験のプロバイダー」であるべき
・ド派手さよりも、“日常に自然に溶け込む”ことのほうが記憶に残る 

②「イノベーション×情緒」が、ブランドの新しい存在意義をつくる 
・技術や制度の変化だけでなく、“人の気持ち”に立脚した創造が評価されている 
・誰かの「ためになる行動」が、広告ではなく「物語」として受け入れられていた 

③ メディアは“割り込む”のではなく“溶け込む” 
・報道・SNS・ユーザー体験の中に「自然に存在する」ことが新しい広告のかたち 
・発見性・参加性・共感性を高めることで、広告は「話題」ではなく「文化」になる 

④「人に選ばれる」より「AIに選ばれる」時代へ 
・検索・レコメンド・AIアシストが購買に大きく影響する時代 
・だからこそ、ブランドのふるまいに一貫した「信頼」と「人格」が必要  

⑤「SASSY」がAI時代の欲望を形づくるフレーム  
・SASSY=Science/Aesthetics/Sensorial/Shared/Young Spirit 
・科学・美意識・感覚・共感・時代性の掛け算で“欲しい”を喚起 
・無意識に選ばれるブランドになるには、意識的に“SASSY”を設計せよ 

これら5つの学びは、単なるトレンド解説ではなく、LENSが国内外で通用するソーシャル・クリエイティブを構築するための実践的な羅針盤です。現地で得たこの視点を、日本の文化や社会課題に結びつけ、世界基準の企画として形にしていきます。 


セミナーの視点を体現する今年の受賞事例 


IKEA「U UP?」 
体験の設計思想

カナダで認知度の低かったIKEAのマットレスを販売促進するため、深夜の時間帯に着目したキャンペーン。不眠に悩む人に、若者がよく使う「u up?(起きてる?)」という軽い呼びかけメッセージを送信し、その場で割引オファーを提示。広告を生活の中に「割り込ませる」のではなく、ユーザーが最も欲しているタイミングに“溶け込ませる”ことで、 ユーモアと親近感を生み出しました。結果、話題化と売上増を同時に実現し、「体験の設計思想」がブランドの価値向上に直結する好例となりました。 

出典:Cannes Lions / The Work 

Vaseline「Verified by Vaseline」
SASSY/AI時代の信頼 

SNSで広がる“ヴァセリン活用ハック”の真偽を、科学的検証によって見極め、信頼できる方法だけに「公式認定マーク」を付与。これにより、ユーザーは誤情報に惑わされること なく、安心して情報を共有できるようになりました。科学的裏付け(Science)とビジュアルの美しさ(Aesthetics)、SNSでの共有性(Shared)を兼ね備え、まさに“SASSY”なアプローチ。AI時代の情報洪水において、ブランドが「信頼のフィルター」として機能する重要性を示した事例です。 

出典:Cannes Lions / The Work 

Lucky Yatra
イノベーション×情緒 

年間約1,100億円もの損失を生むインド鉄道の無賃乗車問題に対し、「罰則」ではなく「報酬」で行動変容を促すという逆転の発想を採用。乗車券の番号を宝くじ化し、毎日当選者を発表する仕組みにより、ルールを守ることが“期待と喜び”に変わりました。運を信じるという文化的背景に寄り添い、既存システムを活用したことで費用対効果は490倍という驚異的成果を達成。制度改革と感情価値を両立させた、社会課題解決型イノベーションの象徴的なケースです。 

出典:Cannes Lions / The Work 

LENSがどう活かすか:3つの約束  

① 広告ではなく、“ブランドのふるまい”を設計する
単発のCMやキャンペーンではなく、企業の価値観や未来へのスタンスが伝わる「行動」そのものを創っていく。

② “共創”という思想を、プロセスと成果の両方に宿す
SASSYに見られるように、ブランドの価値はユーザーと共に育て、検証され、広がっていく。LENSは「企画するだけ」ではなく、「文化を共につくる担い手」として、ブランドと社会をつなぐ共創構造をデザインする。

③ 「日本発のソーシャル・クリエイティブ」を世界基準に
海外事例に学ぶだけではなく、日本特有の社会課題や文化を起点とした企画で、グローバルな競争にも挑む。 


価値ある体験を、社会と共に創造する。 

カンヌでの学びは、賞をとるためのものではなく、世界と共鳴しながらブランドの未来を再設計するためのヒントです。LENSはこれからも、社会とブランドの間に新しい光を差し込む共創集団として、クライアントの挑戦を支援していきます。 

LENS
吉村 徹 / 中田 雅巳 


参照元  
The Work(Cannes Lions 公式アーカイブ)  
https://www.lovethework.com/  
本記事で引用したケースボード3点は、 Cannes Lions の許諾を得て The Work から引用しています。 

Get in touch
up